右の耳がまったく聞こえず、耳鳴りだけがすると言う。持続的に
かなり大きめの音がしていて、疲れてくると、太鼓のようにドーン
ドーンと鳴るという。その上に、偏頭痛と吐き気に悩まされていた。
 案の定、乳様突起の後下部に、石のようなコリがあった。使用針は
1寸6分の8番(0.3ミリ)であるが、まったく以て石のようなコ
リで、針を持つ指の皮がむけそうになる。治療は、一週間に一度。
 5回治療時点では、まだコリの芯に針が通らないが、

1.ドーン、ドーンという耳鳴りが消えた。

2.頭痛がしなくなった。

3.吐き気を感じることもなくなった。

ということである。

コリの芯に針が通れば、耳鳴りにも変化が生じると思われる。学校の先
生なので、耳の治療は出来るだけやっておかないと、将来、就業に差し
支えがでる恐れがあるので、根気よく治療する必要がある。

針の位置と下の解剖図から、硬結部位が分かると思う。放置しておくと
いずれは化骨するであろうし、そうなると、難聴・耳鳴り・偏頭痛に加
えてメニエール症などを発症する恐れもある。現状では、化骨寸前であ
ろうと思う。



この部位のコリを取ることによって、閃輝暗点を伴わない偏頭痛ならば
ほぼ確実に治癒せしめることが出来る。閃輝暗点を伴う場合でも、症状
は軽減するし、発作の回数が少なくなる。無論、疲労の積み重ねによっ
てコリが戻ってくれば、また同じ症状が現れることが予想されるが、来
院可能な範囲に居住している限り、痛みを予期した時点で治療に来る。
問題は、転勤などで治療が出来なくなったときである。この種の治療は
まだ普及していないので、そのような場合は、治療の手引きを詳細に書
いて渡すことにしている。


治療例のページに戻る