画像データは癒合頸椎症。症状は深部の筋と腱の異常硬結がもたらすものの例。
つまり、頸椎の癒合は、この人が訴える症状を表す原因ではないという例です。



 この画像を持って来た人は、手の痛みとしびれを訴えていました。痛みがひどくて
眠れないと言います。整形外科の医師は、この画像を見て、4番と5番の癒合頸椎症
であると言い、症状はそれに由来するものと判断したようです。整形外科的には正解
だと思います。

医師は、神経ブロック注射とリハビリを勧めたということですが、本人曰く、

 # 神経ブロックは全く効かず、リハビリは時間の無駄だった・・・


 この人にも、腰椎椎間板ヘルニアの人と同じように、針で丹念に深部残りをほぐす
という治療をしました。1回で大幅に症状は軽快し、2回目でほぼ消えたので、

 # また痛くなったらお電話ください。

と言って治療を終えました。

 # 2回で8000円ですね。これまでにかかった費用と時間は何だったんでしょうね?

というと、

 # う~ん。何だったんでしょうねぇ・・・

と苦笑いしていました。

 しかし、私がやるような鍼は、業界では異端とされているようです。

 何故なんでしょうねぇ? 皮下、数センチにある石のようなコリが、皮を切る程度
の鍼で消えるとも思えませんし・・・。
 私は、来た人を治療するだけです。異論も反論も致しません。

 ただ、これだけは、事実として指摘できます。画像は正しいが、画像の解釈は間違っ
ています。形態の異常と症状とを直結させるのは、短絡的です。そうでないのなら、
鍼治療で痛みや痺れが消えるはずがありません。医師の解釈力が、画像データの説得
力に負けているのだと思われます。

 # 形態の異常が症状の原因でない場合は、多々あります。

 皮を切る程度の鍼ではこの人の症状は消えません。これまでの鍼治療で消えていな
いのですから、消えないのです。鍼師から、深部触診の能力が失われているのが原因
だと思われます。

 この人は、この会話の2日後に、もう一度治療に来ました。肩から腕にかけて、だ
るさと痛みが混じったような感じがするということでした。この感覚は「ここが痛い」
というふうにピンポイントで示せない性質のものでした。

 私は、主に、上腕骨周囲と肩甲骨上の棘下筋を丹念にほぐしました。ガチガチと固
まった凝りがありました。それをほぐし終えたところで、この不快な痛みは消えまし
た。

 それから10日経ちますが、治療の電話はかかりません。当分は大丈夫だろうと思
います。

 いろいろと話をするうちに、この痛みの原因が、釣りにあることが分かりました。
竿を持つ手が痛んでいたのです。頚椎が癒合した原因は分かりません。しかし、釣り
はやめた方が懸命です。

 なお、私は、このページを読んでいる人が次のような手術を望むのであれば、止め
はしませんが、このような処置の後にむち打ち症にあったりしたらどのようなことに
なるのか、想像できません。




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