極度に疲労した状態で来院した患者の治療例である。もう、何度も治療し
ているが、仕事が忙しくて定期的な治療ができない。一度は、生活に支障が
ない程度にまでは治りかけたのであるが、その後治療にこなくなってしまっ
た。たまに電話があったときは、こちらの手がふさがっていたりで、1~2
ヶ月に一度くらいしか治療できない状態が続いた。
 今回は、痛みで眠れないということで来院した。運良くこちらも時間があ
いていた。
 第2腰椎左側に石のようなコりがあり、5番の鍼が通らない。これを通す
のに20分以上かかった。「翌日は、針の痛みが残りますけど、これは仕方
ありません」と伝えておいた。もし、治療を手加減すると、ぎっくり腰を起
こすか、椎間板ヘルニアにでもなるかであろうと思われた。その一歩手前の
状態である。このコリが腰椎に与える物理的圧力は、相当なものであること
が予測される。このコリがある状態で、過重な負荷が加わると、いわゆるぎ
っくり腰、あるいは、椎間板ヘルニアを起こすことになる。
 このようなコリであっても、レントゲンには映らない。外から揉んでも分
からない。脈診しても分からない。浅い鍼では分からない。結局そのコリが
あるかどうかは、その深さまで鍼を送ってみなければ分からないのである。
 2日後に再度来院した。ずいぶん楽になったというが、職業柄、定期的な
治療を必要とする患者である。
 

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