フローズンマッスルは通常のレントゲン撮影では確認できない

経絡治療家が行う脈診でも確認できない。

現代医学の診断法からも、古典的伝統医療の診断法からも見落とされる一般的な筋肉疲労の形態である。

これは、直接、針を通さない限りは分からない。

もっとも、長年治療をしていると、皮膚の上をなでただけで分かるようになるのだが・・・・

 フローズンマッスルは通常のレントゲン撮影では確認できない


29歳男性の右足のレントゲン写真。全く何の異常も認められないのであるが
8番(太さ0.3ミリ)の針がガチガチとぶつかるようなコリがの範囲にあ
る。左図で言えば長母趾伸筋に針を刺し、深さ15mmに達した時に、石のような
固まりにぶつかったのである。それは骨のように硬かったが骨ではなかった。
なぜなら、最終的には、それは針で柔らかい組織に戻ったからである。   

 フローズンマッスルを確認するための撮影方法があれば、視覚的に確認でき
るはずである。中年期以降の大半の人は、体のあちこちにフローズンマッスル
を持っており、それが原因不明の痛み、様々な不定愁訴の原因になっている。
物理的・心理的なストレスの長期間に及ぶ積み重ね、および、交通事故などに
よって、瞬時に過大な負荷がかかった後の筋の硬縮がその生成の原因であると
考えられる。                             

フローズン・マッスルは、現代医学の画像診断からすれば、まるで幽霊のよう
な存在である。姿はまったく見えない。しかし、さまざまな症状を出す。この
異常に拘縮した筋肉が、世界中の人々を苦しめているのである。しかし、医師
は、この画像を見て必ずこう言うであろう。               

 異常ありません!

異常なしではない。異常は大ありなのだ。こういう症状には、針以外に使える
道具がない。しかし、脈診中心の現代の針治療でも、フローズン・マッスルは
同じように見落とされている。脈診でこの部分に異常があることが分かる人は
いないだろう。これは、「証」を立てる以前の問題なのだ。        

虚証であるか実証であるか、肝虚証であるか、腎虚証であるか、というような
ことに関係なく、フローズン・マッスルは存在する。           

また、両者ともに、綿密な触診をしないという点でも共通している。実に現代
的である。つまり、                          

主知主義的なのだ。

そして、一方が専門家的、他方が名人芸的であるという相違はあるにせよ、両
者ともに、人体の重力負荷を考慮していないという点、人体の力学的考察を行
わない点でも共通している。実に、前近代的である。つまり、両者ともに、

ニュートン以前

の、それぞれの医学的基礎知識の上に理論が成り立っているのである。だから

重力負荷が引き起こす症状を見抜けるはずがない。
治せるはずもない。


忘れられた筋肉が人体に対して復讐し、あざ笑っているかのようである。現代
の医療は、洋の東西を問わず、まるで亡霊に取り憑かれたようになっている。